シューズショップ 坂口屋

シューズショップ 坂口屋

シューズショップ 坂口屋

「買いに来てくれなくてもいい!?」
ショッピングセンターにもウェブショップにもない
『買い物以上』の価値あるお店。

蟹江で 50年営むシューズショップ「坂口屋」。店主の胡桃さんは創業からずっと靴一筋でこの町の移り変わりを見てきました。商店街に活気があり、町民祭りでもたくさんの靴が売れた時から考えると、ショッピングモールやインターネットショップ隆盛の今は少し寂しくなったと言いながらも、「坂口屋さんがなくなったら困る」と言ってくれるお客さんのためにも少しでも長く続けたいと笑って決意を語ってくれました。

お店を始めたきっかけはお母さん!?受け継がれるDNA

丹羽 お店は開業して何年くらいになりますか?
胡桃 52年くらいになります。
加藤 あっ!!ほぼ俺と同い年!
胡桃 いやぁー!!まぁ、何しろうちの隣は中部電力さんの営業所で反対隣りが床屋さん、で向かいに飲み屋さんがあって、それ以外は何もなかったからね。
丹羽 52年ってことは・・・?
加藤 昭和41年。すげぇ(歴史がある)ぞ。
胡桃 ふっふっふ。
丹羽 もともと靴屋さんだったんですか?
胡桃 そうそう、靴屋で商売を始めました。
丹羽 なんで靴屋さんをやろうと思ったんですか?
加藤 きっかけというか。
胡桃 私の母親が履物屋をやってて、蟹江で。

加藤 どこでやられてたんですか?
胡桃 JRの駅前の方でやってました。
加藤 昔の本町通りですね。
胡桃 そうそう、で、私は私で名古屋の広小路にあった靴屋に勤めていたのでその延長で蟹江でお店を始めました。
丹羽 お母さんが履物屋さんをやってらっしゃったから、同じく靴屋さんを開業したと。
胡桃 私の母親は本町通りにあった履物屋を一旦やめて、今の土地に引っ越した後に私がここで開業しているので私が初代ですね。
丹羽 へぇーーーー。名古屋の広小路で働いてらっしゃったんですね。
胡桃 そうです。10年くらい働いて(今のお店を)やり始めたんです。
加藤 そんなころの広小路の靴屋さんったらおしゃれなかっこいいお店じゃないですか。
胡桃 そうなんです。名古屋で一番くらいにおしゃれな靴屋さんでした。
加藤 当時はまだ栄の地下街とかそういう買い物する場所も少なかっただろうから。
胡桃 まだないですね。だから(広小路通りは)すごい人通りで。お正月なんかは前に進めないくらいの人出でした。
丹羽 そうなんですね。 昭和41年に開業されて、その前に10年名古屋の靴屋さんで働いてらっしゃったっていうことは・・・(まだ1956年か・・・)
胡桃 私は学校卒業してすぐに働きだしたね。
加藤 だからずっと靴業界にいらっしゃるんですね。
胡桃 そうですね。だんだん時代は変わっていくわね。商品構成も変わってくるし。
丹羽 はい。
胡桃 この前の通りも、すっと前は両面通行だったのが一方通行になったし。
丹羽 あ、この道は両面通行だったんですか?
胡桃 そう。で一方通行になる時に一番街の方たちが警察署に陳情に行ったりねぇ。(一方通行にするのを)やめてくれと。
丹羽 そうだったんですか。
胡桃 結局駄目だったんだけどね。そういういろんな歴史があります。50年もやってるとね。

お客さんに「ずっと、やめないでね」と愛されるお店

丹羽 お客さんの年齢層は高めですか?
胡桃 えぇ、そうですね。私の歳と一緒でお客さんの層もだんだんと上がってきて。
丹羽 うんうん。
加藤 持ち上がりってやつですね。
胡桃 だからおばあちゃん向き(のラインナップ)です。おばあちゃんらしい商品は大きいショッピングモールなんかでは置いてないから、お客さんにも「(お店を)やめないでね」って言われてて。
丹羽 なるほど。
胡桃 (お客さんから)「私買うところがなくなっちゃうから」って。
丹羽 ショッピングセンターにないもんなんですね。僕自分の靴しか見てないので。
加藤 そういうところは〇〇〇マートとかああいうところくらいで・・・
胡桃 若い人向けのものばかりだからね。おばあちゃん向けのものは少ないわね。
丹羽 ふーーん。
胡桃 だからそういうお客さんに合わせて商品を仕入れて、どうにかやってます。
丹羽 商品の仕入れはどのようにされてるんですか?
胡桃 大きなメーカーはカタログを見ながらFAX等で発注してやってますけど、今は靴の問屋もめっきり減ってきて。昔は名古屋にも20~30軒もあったんだけど、(お付き合いしてるのは)今は2~3軒じゃないかなぁ。だから東京の会社にも電話なんかで取り寄せています。
加藤 問屋も減ってるんですね。
胡桃 だから、ずっと町民祭りで出店してたんだけど、だんだん商品が集まらなくなってきちゃってね。
加藤 ふんふん。
胡桃 こっちも(町民祭りに出店するんだったら)きちんと数をそろえて出店したいっていうのもあるしね。まぁ、私が足を悪くして出店をしなくなったっていうのもあるんだけどね。
加藤 今はもうだいぶ良くなりましたか?
胡桃 よたよたと歩いてはいるね。だからこうやって店を続けてはいるね。

「蟹江町民祭り」以前からの伝説のお店?今も待望論が・・・

胡桃 町民祭りはみなさん出店するのを待っててくれたのもあるからたくさん売れたんだけど、(出店しなくなってからは)みなさんに「(町民祭りに店を)出さないの?」ってよく言われます。
加藤 学戸や西之森やら坂口屋さんから少し遠い所に住んでいらっしゃる方はなかなかこっちまで来れないからね。
胡桃 そういう方が町民祭りでまとめて2~3足買っていってくれたんです。だから(町民祭りに出店しなくなって)待っていてくれる方には悪いなぁって思ってるんです。
丹羽 坂口屋さんって、蟹江の町民祭りが始まった時から出店されてますか?
胡桃 はい、初回の町民祭りから。1回だけ結婚式に出席するために休みましたけどあとは一昨年までずーっと出店してました。
丹羽 私以前に商工会に保管されているアルバムを拝見する機会があって、古い写真の中に坂口屋さんが出店されているのを見たことがあります。蟹江町民祭りはもともとは・・・
胡桃 産業祭り!
丹羽 そうそう!町民祭りの前は「蟹江町産業祭り」でしたね。
胡桃 その頃は物販のお店が多くて、うちもたくさん売らせてもらいました。当日はトラックで品物を持って行っていかないと間に合わないから、品出しとか片づけに時間がかかって、役員の方にはご迷惑をお掛けしていました。
加藤 町民祭りも最近はゲームとか催しが多くなっちゃって。物を売ってるところもないとね。だから今でも坂口屋さんの出店を心待ちにしている方もみえますよ。
胡桃 ありがたいことですね。
 


品ぞろえは数あれど一番人気は・・・「ヘップ」って??

丹羽 よく売れる商品はどんなものですか?
胡桃 女性のお客さんの割合が高いからヘップ(つっかけ)類が多いわね。
加藤 だからお店のど真ん中に陳列してますね。
胡桃 そうだね。
加藤 でも若者が履くような厚底のものなんかも置いてますね。
胡桃 置いてはあるんだけどね 笑 
丹羽 スニーカーもありますね。
胡桃 仕事で履くようなスニーカーなんかも買ってくれる方がみえますね。
加藤 (女性でも)パートの女性なんかが仕事用で履くことありますもんね。
 

ヘップ・・・ヘップ・サンダルとは、かかと部分にベルトがないサンダルの事。
ヘップバーン・サンダルの略で、オードリーヘップバーンが映画「麗しのサブリナ」内で履いたことが由来。

買う気がなくてもOK!お店はコミュニケーションの場!?

丹羽 お店をやっていて嬉しかったことは何ですか?
胡桃 さっきもお話ししましたように、町民祭りでたくさんのお客さんに靴を買っていただいたこと。それにお客さんに「(お店を)続けてね」って言われることは嬉しいですね。
丹羽 なるほど。
加藤 期待を背負ってますね。

胡桃 「もうちょっと頑張ろう」って思うよね。
加藤 そういう(坂口屋さんのようなラインナップの)店を探している方は絶対にいるはずなんだよね。だからこの企画が(見つけてもらえる)きっかけになるといいよね。
丹羽 そうですね。
胡桃 ありがたいことに50年もやってこれたってことはお客様あってのことだから感謝するばかりです。
丹羽 あらためて50年ってすごいですね。
 
丹羽 これから自分で商売を始めたいっていう若い方に向けたアドバイスを送るとしたら何ですか?
加藤 「これだけは大事だ」みたいなね。
胡桃 私の場合はお客さんとのコミュニケーションでしょうね。特にうちみたいな個人店はね。
丹羽 うんうん。
胡桃 うちに来てもらった時に「久しぶりに笑ったわ」なんて言ってくれる方もいるの。買いに来てくれなくてもいいから「少しおしゃべりしに坂口屋さんに行こう」くらいの気持ちで寄ってもらえると私も嬉しいかな。
丹羽 今みたいにパソコンを見ながらボタンを押して買い物をするのとは真逆ですね。
胡桃 年を重ねるとそうなのか、日々のちょっとしたこととか健康のこととか、誰かに話したいんだよね。わたしもそうだもん。
加藤 気軽に来てもらいたいですね。
 
丹羽 ちょっとこの質問はあれなんですけど。今後の目標はありますか?
一同失笑
胡桃 その質問は酷だわね。笑 なんとかやってるってだけで。。。
加藤 質問の仕方が悪い。
丹羽 すいません。
胡桃 さっきもあったけど、「この店がなくなると困る」って言ってくれているお客さんのためにも、できるだけ長く続けていけたらいいね。
加藤 チャレンジですね。
胡桃 そうですね。足を悪くした時も「足を直して店を開ける」っていう目標があったから治療とリハビリと頑張れました。
丹羽 頼みにしているお客さんのためにも少しでも長く続けてください。
 
買い物は単にモノを手に入れるだけじゃない。顔の見える距離でコミュニケーションをとることで得るものがある、と売り手と買い手の基本を教えてもらえるような取材でした。
「蟹江の一番街にこんな靴を売っているお店があるよ」と宣伝するのも自分たちの仕事だと、使命感に近いものを感じて取材を終える取材班でした。


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