桂寿司

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お兄さんに憧れてお寿司屋さんに!
でも一歩間違えればサラリーマンだったかも!?
人に歴史あり。桂寿司さんにドラマあり!

蟹江の老舗寿司屋「桂寿司」。名古屋で修行を積んだ大将は蟹江でお店を出してからも研鑽を重ね、今年で 47年。今も毎朝市場に通い、新鮮で美味い魚を見極めお客さんに振舞う。
「おやじおかみ図鑑」で取材させて頂いたどの人にも当てはまることですが、「おやじ、おかみに歴史あり。」桂寿司さんの場合も開業に至る経緯や現在の仕事に対する姿勢、若い人に向けたメッセージなど存分にお話を伺いました。「ランチが美味しい秘密」にも注目です!

7年みっちり修行してもまだ短い?お寿司屋さんの奥は深い

丹羽 お店始められて何年位になりますか?
大将 えーーーと・・・おーーーい!うちてぇ何年になる?
裏の女将さんに確認しながら
女将さん 46年、9月9日。
大将 おかしな巡り合わせで、開店が9月9日、改装したのが8月8日、最近2回目に改装したのが3月3日。
丹羽 覚えやすいですね。46年というと1971年だから・・・47年ですね。47年お店を続けるってすごいですね。
大将 手打ちうどんのかどふくさんが一番長いと思うけどなぁ。
丹羽 あ、かどふくさんの方が長いんですね。大将はどちらかで修業されたご経験はあるんですか?
大将 おぅ。菊井町っていう・・・
丹羽 西区ですよね。
大将 そうそう、その店で修行してたけど割合早くに出てきちゃったなぁ。7年くらい。
大将から、美味しい「たこのお刺身」を差し出され、頂きながら。
丹羽 7年ですか。
大将 本当はもっと修行しないといけないんだけど。
丹羽 7年も長いと思いますけど。
大将 でもあれだなぁ、今テレビで名人だとかいって出てくる奴を見てみるけど、下手だなぁ。
丹羽 あははは!そうですか。

お兄さんの勤め先でアルバイトをしたのが楽しくて・・・?

丹羽 大将はもともと蟹江のご出身ですか?
大将 もともと蟹江だよ。俺は百姓の息子。ここは昔田んぼだったの。で、ほんとは名古屋でやりたかったんだけど、不動産屋の知り合いに相談したら名古屋の家賃の高いところでやるよりも、こんないい(実家の)土地があるんだから、ここでやれるように家族に頼んだらどうだって。で、ここの土地を頂いたの。
丹羽 そうなんですか。
大将 俺は8番目の子でね、兄貴がいたんだけど、それぞれ別の土地で商売をやっていたから(この土地を譲ってもらえた)。
丹羽 実家が農家でもみなさん別のところで独立されてたんですね。
大将 兄貴も名古屋で寿司屋をやってたね。
丹羽 へぇーー。
大将 (兄貴が)寿司屋をやっていたから俺もそこに出前運びのアルバイトに行ってたの。冬休みとか春休みに。小中学校のころなんて、田舎だっていうのもあるけど晩ご飯食べて8時ごろには寝ちゃうでしょ。それがアルバイトに行ってみると、夜遅くまでお客さんがどんちゃん騒いでるわけ。それを見てたらこんなおもしろい仕事はないなって思ってね。
丹羽 楽しそうに見えたんですね。それじゃぁ、お兄さんのお店でアルバイトしているときから将来はお寿司屋さんになりたいっていうのがあったんですね。
大将 そうそう。
丹羽 なるほど。
大将 でも高校出てすぐは普通に就職したんだよ。リコーに。
丹羽 コピー機とかの?
大将 そう。でも1ヶ月もおれんかったわ。
丹羽 そうですか。。。
大将 なんだろうな。うちは親は百姓だったんだけど、おじいさんとか親戚なんかは商売人が多かったから。血が騒いだのかな。


ランチメニューは恩返し?地域に愛されるわけとは・・・

お店の電話が鳴る。お昼のランチの予約電話のようだ。(予約の必要はありません。)
大将 お昼は1000円のランチをやってるんだけど。
丹羽 はい
大将 夜にいいお酒を飲んで、お寿司を食べていってくれるお客さんもありがたいけど、お昼のランチに来てくれるお客さんも同じくらい好きなんだよね。
丹羽 桂寿司さんの前を通ると高級そうないい車が停まってるんで・・・
大将 入りにくい?
丹羽 ふふふふふ。
大将 お客さんに「美味しかったよ」って言ってもらえると、夜も昼も嬉しいよね。
冷蔵庫からネタを取り出しながら
大将 この天然の鯛でも、結構いいもので。でもランチに出しちゃうからね。
丹羽 でも正直採算は合わないですよね?
大将 うん。でも採算は合わなくてもいいの。地域に愛されるお寿司屋さんであればいいの。
丹羽 そうですか。
大将 今までお世話になった人になんか少しでも恩返しっていうのかな。
丹羽 ランチは予約しなくてもふらっと来てもいいんですよね?
大将 もちろん。予約制とかではないから。
丹羽 ランチはいつごろから始められたんですか?
大将 3年前に2回目の改装をした時からかな。
丹羽 3月3日ですね。
大将 エビフライみたいなそんなものはないけど、寿司屋だから。ちらしか握りに小鉢と赤だしが付くね。


丹羽 鉄火のまぐろが太いですね!!
大将 普通だよ。うちでは。
丹羽 僕たちなんかは回転すしに行き慣れてるんで余計に太く感じますね。
大将 そうかもな。

若い商売人に聞いてほしい!長く商売を続ける秘訣とは?

丹羽 ちょっと聞きにくいんですけど。大将のところはお店を継がれる方とかは・・・
大将 いないの。うちは。女の子2人で。
丹羽 そうですか。
大将 娘は二人ともしっかりした所に嫁いでるから。幸せなの。
丹羽 文句のつけようのないお婿さんなんですね。
大将 そう。
丹羽 この「おやじおかみ図鑑」をやり始めたきっかけっていうのが、今無くしたくないお店や後世に残したい技術を大切にしてゆきたいっていうところからなんですけど、
大将 うん。
丹羽 誰かに継がせるとか、後継者を見つけるっていうのはもちろん大事なんですが、居酒屋 香さんとかカニエロックさんみたいに「まだまだ俺たちが頑張るよ」っていう方も大勢いらっしゃいますね。
頼もしい限りです。
大将 私もね、老体に鞭打って、朝の5時半、6時位には家を出て。柳橋(市場)に行って、渾身の力入れて仕入れしてくるんだから。
丹羽 はい。
大将 で、ほんとに忙しいとね、市場から帰ってきて全然休憩取れなくてお昼を迎えることもあるよ。
丹羽 お忙しいんですね。
大将 やっぱり同級生も頑張ってるからっていうか。あのー庄屋さんね、わかる?いい意味でライバルっていうのかな。あいつも頑張ってるから俺も頑張るみたいな。切磋琢磨できるのも源だわな。
丹羽 なるほど。
大将 あとうちは夫婦でやってるでしょ。どっちかが欠けたらアウトだからね。特に寿司屋はね、二人三脚じゃないとやっていけないのよ。
丹羽 そうなんですか。
大将 俺今ご飯炊けって言われても炊けねぇもん。女房がご飯炊いてくれるから。そういうのも(続けるのに)大事だわな。
丹羽 そうですね。
大将 この間俺が足を悪くして入院してた時はしばらく店を閉めてたから。俺が欠けてもだめ。女房が欠けてもだめ。
丹羽 お二人で元気でいるのが。
大将 商売の原点。昔はそんなこと思わなかったけど、年取ったからかな、そういう風に思うね。あとは「お金を儲ける」「お金を儲けよう」とは思わずにお客様に「儲けさせていただいている」と思わないといけないわな。あつかましいわな。
丹羽 勉強になります。
大将 でも俺と女房で考えが違うでさぁ、女房はしっかりしてるから。
丹羽 ふふふふふ。
大将 だからうまくいかない時もあるわな。
丹羽 まぁでも、お二人ともそういう風(サービス精神旺盛?)だと・・・
大将 おぉ、そうだわな。
丹羽 はい。

おすすめはやっぱりあのメニュー!若い人にはサービスします!

丹羽 変わったお客様とか困ったお客様とかいらっしゃいます?
大将 一番困ったお客さんは「時節に乗れないお客様」かな。
丹羽 時節に乗れない?
大将 時節っていうか、物騒な話ししたり、他のお客さんに絡む方とか、酒癖の悪いお客さんかな。
丹羽 あーなるほど。
大将 そういうお客さんはどんな商売でもそうだけどな。
丹羽 そうですね。
 
丹羽 おすすめのメニューを教えていただきたいんですけど、ランチメニューにしてもいいですか?先ほども夜のメニューと同じネタだと仰ってたので・・・
大将 おぉ、おすすめはランチメニュー。
丹羽 ちらしか握りに小鉢と赤だしが付くんですよね。
大将 若い人にはちらしやネタも大盛にするよ。料金は一緒。
丹羽 はい。
大将 特に若い人は大好き!
丹羽 しっかり書いておきます!

丹羽 お寿司屋さんを目指している若い方にアドバイスがあれば教えていただきたいんですが。(頂いた鉄火を頬張りながら。)
大将 若い人にか?
しばらく考えてから
大将 寿司屋でもうどん屋でもなんでもそうだけど、既存のチェーン店?に負けない気概を持って商売してほしいっていう事と、あとはまじめに腰を据えて商売することだな。 
丹羽 そうですね。
大将 どこの町でもそうだけど個人で寿司屋とか飲食店がオープンすることもなくなったわな。
丹羽 でも安い回転ずしとかチェーン店が出てくれば出てくるほど桂寿司さんのようなお店が際立つような気もしますね。
大将 最後に言っておくけど、回転ずしとうちのランチと値段的に比べたら絶対に(回転ずしには)負けない。ネタのバラエティにも富んでるし、俺も言うからにはうまい寿司を出すから。
丹羽 うーーーん。なるほど!!
大将 それだけは自信もってるよ。市場の魚屋に「桂寿司のおやじは良い魚を買っていくか?」って聞いてごらん。「間違いございません」っていうから (笑)
丹羽 おぉーーーー!
大将 ほんとだよ?名古屋の有名な鰻料理のお店あるだろ?
丹羽 熱田の有名なところですよね。
大将 あそこのおやじとおんなじ所で仕入れてるから。
丹羽 へぇーーー。
大将 そこで仕入れた魚でランチ出してるんだから。
丹羽 美味しいはずですよね。


「老舗の寿司屋の大将」といったら昔から「頑固おやじ」なんて相場が決まってそうですが桂寿司の大将はサービス精神旺盛でチャーミング。 お客さんや女将さん、地域の方への感謝を忘れず、真面目に働く。 47年も続くお店の魅力はこんな短い取材時間じゃわからないぞ!とサービスで出して頂いた鉄火巻きを思い出しながら今度は自分もランチを食べに来ようと思う取材班丹羽でした。


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